彼と愛のレベル上げ
彼と愛のレベル上げ
三ヶ月はあっという間だった。

修行とは名ばかりで、お婆様に教わっていたのはお料理がほとんど。

残りもので作る和食とか、びっくりするぐらい簡単なものばかり。

毎日のことなんだから主婦は賢くならないとねというのはお婆様の弁。


お掃除やお洗濯はお手伝いさんがしてくれて、自分の家に居るよりもずっと楽だったぐらい。


お母さんたちと東京にも二度行った。

お母様は私の事を娘ができると大喜びで、ジュンさんには連絡をせずに私だけを家に呼び寄せた。

嬉しいけど戸惑いもあって、なんだかいいのかな?


いつものジュンさんとの電話の時間。


『モモ、もうすぐ約束の三ヶ月ですね』


この通り。ジュンさんの言葉づかいは変わらずで……

メールだけがゲームの中のジュンさんに戻ったぐらい。


「ジュンさんはなかなか治りませんね?」


別に責めるわけではなく言った私にジュンさんは


『モモが嫌でなければこのままでいきたい所ですが』

「あのっ別に嫌って言うんじゃなくて、」

『…たぶん、しばらくはこのままの方がよさそうなんですが』


しばらくはこのまま……


ジュンさんがそう言った言葉の意味がわかったのは数日後。




     *****




三月のある日、部長に呼ばれた。

直接呼ばれることなんてまれで、よほど何か悪い事でもしたのかとビクビクしながら部屋へ行った。


「天ケ瀬さん、そろそろ異動の時期なのはわかってるね?」

「え?あ、…はい」


異動なんて営業補佐の私にはよほどのことがない限りは関係のない話し。

もしかしてまた私の担当営業が変わるとかそういう事?


「本社からオファーがきているんだが、」


は?本社?
オファー?なにそれ。


「秋のレポートが好評でね。本社にいる堂地君の後押しもあって……


そこからの話は全然耳に入って来なかった。


「……と言うわけだから、数日中に返事をもらえるかな?」

「はい…」


要するに本社で営業補佐ではなく、違う部署で働いてみないかと言う話し。

しかもジュンさんも知ってたなんて
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