彼と愛のレベル上げ
お父さんは電話を私に戻してきた。


『モモ?』

「あ、はいっ、あの…」


全部お父さんが伝えてくれたから私からは特に何も言う事はないのだけれど。


『話しはわかりました。日にちもない事ですので早急に手配します』

「大丈夫、なんですか?」


けっこう無茶言ってたけど、本当に大丈夫なのかな?


『モモが決めた事ですから大丈夫にしてみせますよ。夜また電話します』

「わかりました」



結局私の決断したことでジュンさんに迷惑をかけてちゃったんじゃないのかな?

ふぅーっと小さくため息をつくと電話をそのままテーブルに置く。


「桃華、」

「ん?」


顔を上げるとお父さんがなんとも言えない顔でこちらを見ていた。


「無茶を言っているのはわかっている。親としては最大限で娘を守りたい」

「お父さん……」


お父さんの気持ちも痛いほど伝わってきて、それ以上の言葉は言えなかった。


「さ、二人ともお茶にするわよ?ほら桃華ちゃん。ケーキ冷蔵庫から出してきて」

「はーい」


そこにタイミングよくお母さんが来てお茶の準備をするように言ったからその場から席を立った。

私はキッチンに行き準備をして、リビングに戻るとさっきの雰囲気はもうすでになくケーキを食べながら家族団欒の時間を楽しんだ。




夜になり、自分の部屋でくつろいでいるとジュンさんから着信。


『遅くなってすみません』

「いえ、大丈夫ですか?」

『なんとか準備は整いましたので、明日伺います』


明日って日曜日で、日帰りになるのにわざわざくるの?


『正しくは、もうこちらに帰ってきてますから午前中に伺います』

「え?東京じゃないんですか?」

『あの後、実家に行って両親の予定を聞いてきました』

「え?あれから、ですか?」


確かあれは三時前。

ジュンさんのご実家はジュンさんの家からもそう遠くない。

でも、あの後すぐに行ってくれたなんて。


『ええ、たまたま両親とも在宅中でしたのでスムーズに話しは進みました。それにモモは母と何度か会っているのでその事もあって正式な顔合わせは後でもいいだろうとの事です』

「な、なんか急に一気に進みましたね…」

『期限のあることですから、無駄なく進めないといけませんから』
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