彼と愛のレベル上げ
それから~


『ちょっと桃ちゃん。いくら主任とのラブラブ婚約生活が楽しいからって三ヶ月も連絡してこないって言うのはどういうこと?!』

「え?いや、ラブラブって…」



この三ヶ月、職場も環境も変わって慣れるので精いっぱいだったていうのが実情。

そりゃ、毎日ただいまって帰ってくるジュンさんにお帰りなさいって言える幸せな時間がある。

それだけじゃなくてお料理だって作ってるし、やっぱり思ったよりも大変だった。


『それにさー相良さんもいなくなっちゃったしねー?飲み仲間減って詰まんないわよ』

「へ?潤兄がいなくなった?って?」

『あれ?桃ちゃん聞いてないの?』


何を?

異動が決まって二週間しかなくて、引越しとか結納の事とか色々あったし潤兄とはお正月以来あっていない。

でも、居なくなるってどういう事?


「…聞いてない」

『桃ちゃんには隠しても仕方ないから言うけど四月から相良さん東京の本社に異動になったんだよね』

「へ?!潤兄が?」

『うん、海斗の話だと、今回は受けるって年明けだったかな?そんな話したって』


海斗さん。望亜奈さんの婚約者。

今ではすっかり潤兄とも仲良しでよく三人でも飲みに行ってたらしい。にしても今回ってどういうこと?


「今回は?って」

『なんでも前にも聞かれたらしいけど、前回はお母さんの事もあるし断ったって』

「そ、そうなんだ」


そんなの初耳。

潤兄は自分の仕事の事なんて話した事もなかったし、聞いたことがなかった。

ううん、きっと私がそんな風にしちゃってたんだ。


『あ、でも言っておくけど、桃ちゃんを追いかけてじゃないからね?相良さん一月には決めてたから』

「あ、うん。お正月に会った時にノシつけてアイツに渡すだなんて言われたから。それはないってわかるけど……」


やっぱり私は潤兄から与えられるばかりでその気持ちを返すとか一度も考えた事がなかった。

でも潤兄はずっと私の事を見守り続けてくれていた。


『まぁ、相良さんも言いづらかったのかもね。タイミングも狙ったように一緒だったしねー』


こんな偶然ってあるんだなぁ……
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