彼と愛のレベル上げ


「や、えと仕事があるからこれないみたいで私だけだけど……」


ハァー


「パソコンとか一人で運べんのか?」


え?

大きなため息をつく潤兄。そして、


「家に入ってもいいなら手伝ってやるよ」


いやいや、家に入んなきゃ手伝う意味ないて言うか……

わたしが不思議そうな顔で見ていたのを気づいた潤兄が、


「親戚っつったって、男に家にはいられたら嫌だろ?その部屋の主は」


え、と?


「そうなの?」

「おまえね。やっぱアホだろ?」


片眉をあげて不機嫌そうに言う潤兄。

ちょ、今はアホとかそういう話しじゃなかった気がするんですけど。


「何でそんなこと言うのよっ」

「普通、自分の女が勝手に自分の家に男入れたら怒んだろ?」





「や、だって潤兄、いとこ……」

「それでも、男だろ?……まぁ、俺だったら嫌だね」

「……うーん、そうなの、かな?」

「あぁ、普通はな。」


潤兄、また普通って言った。


前に主任と出かけているって話をした時にも

『普通どうでもいいやつとは休みの日には出かけない。少なくとも俺だったら』みたいなこと言われたっけ。

だから潤兄の言う普通っていうのには今はちょっと敏感。


「あ、じゃあ聞いてみるっ。私も重いのどうしようかなぁって考えてたんだよね」

「聞くときちゃんと理由も言えよ?」


は?


「もしかして理由によったら帰ってくるかも知れないだろ?」


「いや、それはダメ」


先週だってきてくれて荷物運ぶのとかも手伝ってもらったのに。

そんな、月に何度も来てもらうなんて事出来ないよ。


「ま、連絡とってみろよ。予定はあけとくから」

「……わかった」


それだけ言うと潤兄はまたリビングに戻っていった。

蒸らしていた紅茶がちょうどいい時間になっていた。

いい香りと共に綺麗な琥珀色の液体を注ぐ。

それをトレイにのせてリビングに運んでいった。
< 27 / 240 >

この作品をシェア

pagetop