彼と愛のレベル上げ
「や、えと仕事があるからこれないみたいで私だけだけど……」
ハァー
「パソコンとか一人で運べんのか?」
え?
大きなため息をつく潤兄。そして、
「家に入ってもいいなら手伝ってやるよ」
いやいや、家に入んなきゃ手伝う意味ないて言うか……
わたしが不思議そうな顔で見ていたのを気づいた潤兄が、
「親戚っつったって、男に家にはいられたら嫌だろ?その部屋の主は」
え、と?
「そうなの?」
「おまえね。やっぱアホだろ?」
片眉をあげて不機嫌そうに言う潤兄。
ちょ、今はアホとかそういう話しじゃなかった気がするんですけど。
「何でそんなこと言うのよっ」
「普通、自分の女が勝手に自分の家に男入れたら怒んだろ?」
!
「や、だって潤兄、いとこ……」
「それでも、男だろ?……まぁ、俺だったら嫌だね」
「……うーん、そうなの、かな?」
「あぁ、普通はな。」
潤兄、また普通って言った。
前に主任と出かけているって話をした時にも
『普通どうでもいいやつとは休みの日には出かけない。少なくとも俺だったら』みたいなこと言われたっけ。
だから潤兄の言う普通っていうのには今はちょっと敏感。
「あ、じゃあ聞いてみるっ。私も重いのどうしようかなぁって考えてたんだよね」
「聞くときちゃんと理由も言えよ?」
は?
「もしかして理由によったら帰ってくるかも知れないだろ?」
「いや、それはダメ」
先週だってきてくれて荷物運ぶのとかも手伝ってもらったのに。
そんな、月に何度も来てもらうなんて事出来ないよ。
「ま、連絡とってみろよ。予定はあけとくから」
「……わかった」
それだけ言うと潤兄はまたリビングに戻っていった。
蒸らしていた紅茶がちょうどいい時間になっていた。
いい香りと共に綺麗な琥珀色の液体を注ぐ。
それをトレイにのせてリビングに運んでいった。