彼と愛のレベル上げ
休日も終わり、またいつもと同じように朝はやって来た。


週末は長電話をしていたのに、昨日の夜はメールだけだった。

平日に送られてくるおやすみメールとほぼ同じ文面。


自分がそのきっかけを作ってしまった事に反省はしていても、それをメールで伝えるわけにもいかなくて。

メールしてくるぐらいだから、電話で話したくないんだろうな。

なんて考えると自分から電話をする勇気は…ない。




ハァー



「桃ちゃん、こっちまで不幸になりそうなため息やめてくれる?」

「へ?」

「思いっきり出てるよ、ため息。」


珍しく早番の望亜奈さんが私のため息を指摘っていうか注意してきた。

だけど私から出てくるのは、ため息ばかり。



「ランチ一緒にって言いたいところだけど、今日早上がりさせてもらうから昼時間なしだからごめんね」

「あ、いえ。大丈夫です」


頑張って笑顔をつくる。

それをみて頷いた望亜奈さんが、「じゃ、先行くね」と言って心配そうな顔を浮かべて去っていった。

この前の電話の事を話したとしても、悪いのは自分だってわかってるから相談もなにも。


……できるわけないよね。




主任と付き合えて嬉しいはずなのに。

両想いってわかって幸せなはずなのに。

なのに、なんでうまくいかないんだろ……



のろのろと着替えを終えてやっと仕事モードに気持ちを持っていった私はロッカールームを出て仕事へとかかった。


パソコンで書類を処理しながらも、時折主任の事が浮かんできてしまって何度も単純なミスを繰り返した。

ミスした事をすぐに気付いたから良かったものの、いつもよりも倍近くの時間がかかってしまった。

定時には終われるはずの仕事量だったのに、その時間はすでに過ぎていた。


PCの電源を切り、ロッカールームで着替え事務所を出た。

車を運転して着いた場所は…
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