彼と愛のレベル上げ
そして引っ越し当日。

荷物はすべて段ボールにいれて積んである。

あとは折りたたみ式のベッドとパソコン、テレビと本棚を運び出すだけ。

リサイクルショップの人は午後に引き取りに来てくれるからそれまでの間に何度か行き来をすれば終わるはず。

そんな事を考えていたら潤兄が家にやってきた。


「よ、イイ天気でよかったな」

「よかったけど、さすがに暑いね」


まだ8時なのに、すでに外は25度を超えている。

杜(もり)の都と呼ばれているけど、ここだってやっぱり夏は暑い。


「ま、一気に運べばあとは涼しい部屋で二日かけてのんびり片付けすればいいだろ?」

「一気になって運べないよぉーこんなにあるんだよ?」


って周りの段ボールを指した。

そしたら潤兄は、得意そうに


「そう思って軽トラ借りてきた」


開け放ったままの玄関から少し出てみれば下には確かに軽トラが一台。

ぬかりない潤兄。あれならたしかにマンションまでは一回でいけそう。


「もちろん台車も借りてきた」


誰に借りたんでしょう?その軽トラと台車って。レンタカーとかじゃないってことだよね?


「午後にリサイクル業者くんだろ?」

「あ、うん」

「じゃ、午前中に終わらすぞ?」

「え?わ、わかった」


なんだかやる気満々の潤兄。

私が暑いとか、疲れたとか言えなそう。


「あらかた終わったら引越し祝いにうまいもん食わせてやる」

「がんばる!」

「はは、急に元気になったな。モモにはやっぱ食いもんだな」


思いっきり笑いながらそんなことをいう潤兄。

色気より食い気ってまた言われそう……


私が段ボールを運んで潤兄がPCなどを運び出す。

順調に進んで掃除道具と引き取ってもらう家電を残しすべて積み終えたのは10時前だった。
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