彼と愛のレベル上げ
主任のマンションまでの道を助手席からナビしながら潤兄の運転で向かう。


歩いても車でもほぼ五分の距離。

マンションの駐車場に車を停め、荷台にある荷物を台車に乗せていく。


これだけの荷物。

ほんと自分だけだったら絶対無理だった。


最低限だけ残していたはずなのに食器、衣類、その他もろもろ気づけば全部で段ボールは10箱


「モモ、割れものはこの箱だけ?」

「あーうん、そう。それ食器だからね」

「オッケー、他は投げてもいいんだろ?」


ちょ、いくらなんでも投げたらだめでしょ。

引っ越し業者さんだってそんなことしませんよ?

少し睨んだようにして潤兄を見たら「冗談だよ」なんていうけど、目が冗談じゃないて言ってる。

いっぺんには運べないからとりあえず第一弾をエレベーターに乗せて潤兄と一緒に部屋へ。


部屋に着いて鍵をあけて入る。

やっぱり少し暑くてとりあえずリビングの窓を開け、自分の部屋になるその場所の扉も開き玄関にいる潤兄に声をかけた。


「潤にぃ、ここに運んで?」

「あがるぞ」


誰に義理立てしてるのかもう一度そう言うとやっと足を踏み入れた潤兄。

主任の使っていなかった八畳の部屋は、私の引越しを決まってからハウスキーパーさんが念入りに掃除をしてくれたのか新築並みに綺麗になってる。

私が運び込んでたのは衣類が中心だったからクロゼットはほぼ片付いている。


そこに潤兄がパソコン用の机とテレビ台を運び入れて段ボールもここまで運んでくれた。


「モモ、このまま片付け始めるか?」

「え?、いいよ、下まで一緒に取りに行く」

「ん、そうか。じゃ、ちゃんと鍵しろよ?」


子供じゃないんだから言われなくても、するっていうのに。

今は手伝ってもらってる身だし、大人しく頷く。


そして潤兄についてもう一度、駐車場に降りて行った。
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