彼と愛のレベル上げ
降りていくエレベーターの中で潤兄が


「今日、この天気じゃなかったら軽トラやばかったよな」

「私の日ごろの行いがいいからいい天気だったんじゃないかな?」

「は?俺がだろ?桃の日ごろの行いがいいわけないからな」

「……。」


もうちょっと優しく言えないんでしょうかねぇ?潤兄は。


「それにしてもここ、けっこう良いマンションだよな?」

「あーこの建物。お婆様の持ちものなんだって」

「へーすげーな」


ほんと、すごいよね。

お婆様はこの辺の地主さんみたいだし。

主任って考えてみたら、そこはかとなく漂っている育ちの良さみたいなのがある気がするんだよね。


地下駐車場について第二弾。


「よし。んじゃ俺はベッドを運ぶから桃は台車な?」

「わかった。」



すべて運び終えたのは11時すぎ。

残りは部屋の中での作業で、潤兄が本棚とベッドを組み立ててくれた。


寝室にベッドもあるんだけど、まさかあれに一人で寝るのは……

だから一人の時は今まで使ってたベッドを使うことにした。


最後にパソコンを設置してくれて、ネットの接続テストと言いつつ、それで遊びだした。


私はまだまだ続けなきゃいけないけど、潤兄はちょっと暇そう。


「モモ?ゲームなんてするんだ?」

「え?あ、…うん。たまにね」

「まさかネットゲームまでするとは思わなかったなぁ」

「そ、そう?最近はけっこうみんなしてるよ?」


みんなって誰だよって言われそうだけど。実際私の周りでネットゲームしてる女の子知らないし。


「モモも俺が知らない間に色んな事、覚えたんだな……」


なんかオッサンみたいな事を急に言い出す潤兄。

潤兄だって、私が知らない間にそんなにかっこよくなっちゃったじゃん。

ほんと、その口の悪ささえなければすごくいいと思うんだけどね?


「……なんか悪い事覚えたみたいな言いようじゃん。大人になったって言ってよ!」


そう言ってから潤兄を見たら、意外にも寂しそうな顔?


「…潤にぃ?」

「あぁごめん、力仕事やってちょっと疲れたかな」


潤兄はそんな風に言ったけど、なんか様子が変だった。

この雰囲気も変えたかったし、気分転換すれば潤兄も元に戻るかな?と思って


「そうだよねー、ごめんね。いまコーヒー淹れてくるね」

「おぅ」


キッチンに行きコーヒーを入れる準備をした。
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