彼と愛のレベル上げ
それからすぐにお料理が来て食べ始めた私は、さっきの違和感をすっかり横に置いて堪能し始めた。

お料理がおいしかったのと、外が暑かったせいかお酒もすすむ。

潤兄につられて私も、二杯、三杯と飲み進めていた。



「桃は、寂しくないのか?」

「へ?なにが?」

「……自分の、あれだよ。だから、離れてて寂しくないのかって聞いてんの」


自分の?あれ?
離れてて寂しくないのかって。

……あぁ主任とってことか。


「それは、さ。…寂しいよ」

「じゃあ、なんで付き合うことにしたんだよ?」



なんで?付き合うことにしたか?

なんでっていうか、気づいたら付き合うことになってたって言うか。

いや、ずっと好きだったから嬉しかったんだけど。

でも、なんで?って言われると……


「んー……」

「なんだよ、それ」


なんだよって言われても、ねぇ。


「だって、気づいたらそうなってたって言うか…」

「はぁ?!なんだよ、それ」


また同じようになんだよっていう潤兄。


……しかもなんかちょっと怒ってる?


だって片眉あがってるし、声がちょっと怒気を含んでるっていうか。


「潤、にぃ?」

「桃はそんないい加減な気持ちで付き合ってんのかよ?」

「ぇ?」


急に潤兄にそんな事を言われて驚いた私は、うまい反論の言葉が見つからない。


「答えられないってことはそうなんだろ?」

「いや、あの、待って。違うんだって」


だって、違う。

いい加減な気持ちなんかじゃない。

寂しいけど、でもそれもここで待っててって主任は言ってくれた。

約束のリングだって今はペンダントに通ってるだけだけどちゃんといつかって言ってくれた。

だから、主任の家に引っ越すことだって決めたし、付き合っていこうってついこの前も思ったばかりなのに。


「違うの。寂しいけど、それでも今は…それを受け入れるって決めたの」


それを聞いた潤兄はグラスに残っていたビールを一気にあおってからさっきとは違って今度は静かに話し始める。


「桃が、決めたんならいいんだよ……」

「……うん」



潤兄。心配してくれてる?のかな?
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