彼と愛のレベル上げ


『潤兄?なんかあった?』


そう聞きたいのに、やっぱり聞けない雰囲気で。


一年ぐらい前だけど望亜奈さんが言ってた。
潤兄には想ってる人がいるって。

近い人にはなかなか言えないって言ってたから私から聞き出せなくてずっとそのまま。

だからその想い人とはどうなったとか、付き合ってるのかとかそういうのも全く分からない。

まさかその人となんかあった、とか?

だからなんか潤兄は変なの?

でも結局それは本人に聞く事は出来ない。




「迷惑じゃなくて、本当に感謝してる」


私がそう言うと潤兄はほっとした表情になった。


「桃が、こっちにいる間だけでも心配させてくれよ…」


こっちにいる間って、まるでどっかに言っちゃうみたいな言い方……


「今日引っ越ししたばかりなのに、どこにもいかないよ」


私は出来るだけ明るい声で、潤兄がこれ以上心配しないように努めて言った。


「ほらーっだってさ。まだ片づけだって終わってもいないのにー」


潤兄に向ってへらへらって笑って見せて言う。


だって潤兄はいつもちょっと偉そうで、でもすごく優しくて。

そうじゃなきゃ潤兄じゃないから。


「はは、そうだな。桃、終わんのか?明日で」

「えー潤にぃが邪魔したんじゃーん、ヒドイなぁ」


ほら、こうすればいつもの潤兄に戻ってくれる。

だからずっとこうやって潤兄にはいつも近くにいて欲しい。


だって潤兄は大切な家族みたいなそんな存在だから。


でも…それってわがまま?なのかな?
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