彼と愛のレベル上げ
ここは外からのお客様ならば入口で応答してから解錠してはじめてマンションの中に入れるシステム。

だけど今のはドアのチャイムを鳴らした音だから……


おそるおそる玄関に近づいてドアスコープを覗くと―――



え?主任?なんで?
だってメールも来てなかったし、



『モモ?俺。』

「あ、あの今…開けま……」


ハタと気がついて自分を見ればキャミに短パン。

いや、まさかこの格好で出迎えるわけにはいかない。


「あ、あのちょっとだけっ、お待ちくださいっ」

『モモ?』


慌てて自分の部屋に行きパーカーをつかんで羽織る。

ほんとはちゃんと着替えたいところだけど、そんな時間はないし椅子にかかってたそれを羽織るので精いっぱい。


「あの、すみませんお待たせしました」


そう言ってドアのチェーンを外しドアを開けた。



「モモ、ただいま」


そう言って主任は私が顔を見る間も与えてくれずに抱きしめられた。



――――パタン



主任の香りを胸いっぱい吸い込んで、今ほんとにここにいる主任の存在を実感してからゆっくりと顔をあげて


「…おかえりなさい。ジュンさん」


拘束を軽く解かれて二人の間に少し距離を作られるとやっと見えてきた主任の顔。


「……それにしても、」

「?」

「いい眺めですねぇ?モモ?」


!!!


羽織っただけのパーカーが肩から少しずれて、はだけた感じになっていた。
もちろん中はキャミのみ。


「え?あの。えと、お風呂上がりでまだ着替えてなくて、えと……」

「あぁ、だから肌がピンク色なんですね?」


そう言って主任はツーっと首筋をなでる。


その撫でられた首もとから背中にかけてゾワリとして肩をすくませた。


「あの、だから着替えて――――」
「いいですよ?そのままで。だってモモの家なんですから」


そうでしょう?と微笑まれるとそのまま頷くしかない私。

そっか、ここは主任の家だけど私の家でもあって。

おかえりなさいって言えて
ただいまって言えるそんな場所なんだ。

そう思うとここに引っ越してきて初めて、この場所で待っていることの意味を実感できた気がした。
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