彼と愛のレベル上げ
「モモとこの先の未来をずっと一緒に過ごしたいって事です」
この先の未来をずっと……
って、え?
それって?
目をパチパチとしていると
「ほんとに気付いてなかったんですね?あれほど言ってたのに」
主任は少し呆れたような声で言う。
っていうか、今のってプロポーズっぽく聞こえましたけど?
まさか、ね。
主任が私にプロポーズなんてあるわけない。聞き間違い、思い込み違いもいいとこ。
だって――
そんなのあるわけがない
メガネのフレームを触り、主任はなんだか頭を抱えてるようにも見える。
そして今度は顔をあげてまっすぐこちらを見て聞いてきた。
「この先の未来の意味、わかりますよね?」
もう一度念を押されたけど、なんて答えたらいいのか。
「……プロポーズしてるんですけどね?さすがに反応ないとへこみますね」
明らかに眉間にシワを寄せている主任。
「え?そんなっ私、」
プロポーズって言った?
それって主任と結婚?
だって付き合って4カ月。しかも両手で足りるぐらいしか……
ともかくっ、結婚、ですよ?
そんな一生のことなのに安易に決めたりしたら……
「最初からそのつもりでしたよ、5月に捕まえてここに連れてきたときから。
この先の人生モモのこと心配ができないとかありえませんから」
あり得ないって。
でも、ほんとに?
「――私。でいいんですか?」
「何度も何度も言ってますが、モモがいいんです」
「あの、えと、」
「でも、たぶん今のモモでは気持ちが追いついてませんから」
「え?」
それってどういう意味?
気持ちが追いついてないって?
「好きな気持ちだけでは結婚するのは危険です。その先の気持ちにならないと」
「そのさきのきもち?」
主任の言った言葉をそのまま繰り返したけど、
好きの先―――――?
「だから待ちます。でもその代りこの場所でその気持ちを育てて欲しいんです」
主任の言っている意味がわかるようなわからなような?
「本来なら一緒に育てるべきなんですが、なにぶん離れているので…。ズルイやり方ですが富貴子さんとも仲良くなって色々と知って欲しいんです。今までの俺のことやこの周りの事や、いつか紹介したい他の家族の事も」
そうだ、私は主任の事全然知らない。
だから主任からもたくさん聞いて、お婆様からも色々教えていただきたい。