ワンだふる・ワールド ~飼育系女子の憂鬱な1週間
「わかったの?
で、彼女はどうしてるの?」
「どうしてるも何も 聞いて驚くなよ。
菊水の女将いただろ?
彼女が元恋人らしい」
――あの女将が?
――新川恵美?
「じゃ、大和部長は 商談の度に顔を合わせてたってこと?」
「や、女将になったのは
つい最近のことらしい。
それまで何してたかは
知らないけどな。
それにしても、
鷲尾も趣味悪いよなぁ、
大和さんに恨みでもあるのかな
って思うよなぁ…」
ハスキーがまだ話を続けようとした時、玄関からガチャガチャと鍵を回す音が聞こえた。
ハチが帰ってきたらしい。
「そうなんだ。
わかった。情報ありがと」
まだ話そうとしていたハスキーの言葉を遮って、沙希は慌てて電話を切った。