ワンだふる・ワールド ~飼育系女子の憂鬱な1週間
ブルとパグ
プレゼンの資料を確認するためだったが、こんな情報を得られるとは。
やはり、早起きは3文の得だと、意味違いと思いつつも沙希は内心ほくそ笑む。
何とか起死回生のネタに繋がらないだろうか?
確認作業をしながら、いろんな案が頭の中を逡巡するが、決定的な打開策は見いだせない。
あれこれと考えているうちに、ポツポツと社員が出勤し始め、周囲が騒々しくなった。
時計を見ると、7時半になろうとしている。
パグはもう出勤しているだろうと、総務部のフロアへと向かった。
案の定、パグは自分のデスクで新聞を読んでいる。
沙希が目の前に立っていることに気づくと、眉間の皺が深みを増す。
「ご苦労だったな」
その一言ですべてが子猫から伝わっているのだとわかった。
可もなく不可もなくといったパグは、中間管理職の立場さながらに粗相がなければいいと思ってることだろう。
そんなことは、百も承知だ。
今回に限らず、ブルの機嫌を損ねないことこそが彼の仕事なのだ。
パグに促されて、部長室へと向かう。
ブルももう出勤しているようだ。
部長職の彼がもう出勤しているあたり、気が気ではなかったことが窺える。