ワンだふる・ワールド ~飼育系女子の憂鬱な1週間
シェパード
企画部に戻ると、シェパードが丁度出勤してきたところだった。
彼がデスクにカバンを置いたと同時に挨拶に行く。
「部長、おはようございます。
昨日は自宅にまでお邪魔して
すみませんでした」
「おはよう。
こちらこそ、
昨日はありがとう。
おかげで目が覚めたよ。
ところで、
急用できたみたいだったけど
大丈夫だったのか?」
「あ、あ~
特に大した用ではなかったみたいで
問題はなかったです」
「そうか。 なら、よかった。
今日は鷲尾のプレゼンだからな。
気合入れていこう」
ちょっと心配ではあったが、目の前のシェパードは普段通りの眼光鋭い警察犬に戻っていた。
その眼の輝きを見る限り、空元気でもなさそうだ。
すかさず、シェパードに相談を持ち掛ける。
「部長、
そのプレゼンの件で
相談したいことがあるんですが…」
「どうしたんだ?」
「ちょっとここでは…
場所を変えてもいいですか?」
「俺は構わんが…」
不穏な空気に眉間に皺を寄せるシェパードを強引に連れ出し、休憩室へと向かう。
あの場で情報がリークされていると話せば、コリーは聞き耳を立てているかもしれない。
内密に動くのであれば、出社早々に休憩室を使う社員もいないだろうとの判断だ。