ワンだふる・ワールド ~飼育系女子の憂鬱な1週間



付き合い?
じゃ、彼女はいるってことかな?
あの女とはまだ続いてるんだろうか?


無意識に要らない詮索が頭の中を駆け巡った。


「元気だったか?」


「まあ、それなりにね」  


あんたにだけは言われたくない、と内心叫ぶ。  


「ビックリしたよ。
 沙希がすごく綺麗になっててさ」


お世辞のつもり?
あの頃は何も知らないお子ちゃまでしたからね。  


「あの時は……悪かった」  


今更、謝罪? 冗談やめてほしい。  



「どいて」
沙希が一歩踏み出す。
これ以上、不毛な会話を続けたくない。

「早く戻らないと…みんな誤解するから」  



「じゃ、 誤解じゃなくすればいいんじゃねぇ?」  


まさかの返答に耳を疑った。

軽い。
軽すぎる。
全然反省なんかしてないじゃない。

寸前で我に返ることができた。  



「ありえない。
そういうのないから… 絶対ないから」  


迫るハスキーを押しのけて、皆がいる部屋へと戻った。



「遅いから、寂しかったよ~」


戻るなり、甘えモードのシーズーがジャレついてきた。。心なしか、なんかウザい…
ハスキーの言葉に気持ちが不安定になったのかもしれない。


しばらく経っても、まだ鼓動は落ち着いてくれなかった。話しかけてくるシーズーの声も周囲の会話もノイズにしか聞こえない。



――あ~、早く帰りたい…  


切実な沙希の胸中とは対照的に、盛り上がった一行はカラオケへと場所を移すことになった。
移動する途中、とりあえずハチに連絡を入れておくことにした。    




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