ワンだふる・ワールド ~飼育系女子の憂鬱な1週間
私は男に依存するのはやめた。
どんなにハイスペックな男だとしても、だ。
たった一回の人生だし、失敗は論外…。
だとしたら、依存するよりも自分が「主」であれば安泰ではないか。
だからこそ、男選びは慎重にならざるを得ない。
花の命は限られてるとしても、ね。
他の子たちにとっては高学歴、高収入、イケメンがハイスペックなんだろう。
でも、私は違う。
私が望むもの…
それはただ一つ、私への忠誠心だ。
それさえあれば、ハイスペックでなくても構わない。
私に忠誠を誓い、私の幸せを自分の幸せだと感じてほしい。
そんな理想の王子がいつか迎えにきてくれる…
などと夢見る年頃などとうに過ぎている。
もう28歳。
わかってる。
そんな男は待っていても来ない、と。
じゃあ、いないのなら育てればいい。
ちゃんと自分の理想の男に飼育すればいいんだ。
例えるなら、男はたぶん……犬だと思う。
単純さで言えば、男も犬も一緒。
ご褒美をチラつかせるだけで、「お手」も「待て」も容易にやってのける。
自分がハイスペック女子であり続ければ、調教など造作もない。
修一とは主従の盃を交わしてから、もう1年が経った。
みるみる調教は進んで、放し飼いにしてたって真っ直ぐハウスへと戻ってくる。
今では朝食も夕食も率先して作ってくれる程に成長した。
忠誠心は高まる一方だ。
完璧とは言えないけど、理想の恋人、いや番犬に着々と育ってきている。