ワンだふる・ワールド ~飼育系女子の憂鬱な1週間
予感的中。条件反射で難色を示す。
「あ~、この後はちょっと…」
嘘だ。
予定なんか、何もない。
「え?特に予定なんかしてなかったよな?」
ハチ、あなたは黙ってなさい。
「そうなんだぁ。
じゃあ、この近くなんですけどぉ
パスタの美味しいお店があるから
一緒に行かないですかぁ?」
はにかむ私を尻目にどんどん話を進める子猫。
「おい、
村上君達は予定があるらしいじゃないか。
無理に引き留めて 邪魔しちゃダメだろ」
「無理にとは言ってないもん。
…私はただ……
皆で食事した方が楽しいって…
思っただけなんだけどなぁ…」
おもむろに子猫は寂しげな表情を浮かべた。
迫真の演技に二匹はすでにシッポを丸めている。
「沙希、 お前パスタ大好きだったじゃないか。
美味しいお店あるんだったら 教えてもらおうよ。」
「う…ん」
パスタはたった今嫌いになりましたと心の中で呟く。
が、当然口には出せず…。
シェパードが諭して一旦は大人しくなった子猫だったが、笑顔でガッツポーズしている。
その光景にもはや誰も逆らうことはできない。
やむを得ず、皆で食事をすることとなった。