ワンだふる・ワールド ~飼育系女子の憂鬱な1週間
「マンションに行く曜日は決まってるの?」
「え? 特に決まってはないですけど…
どうしてですかぁ?」
「あ、いや、その…
いきなり来られたら兄弟とはいえ
大和部長もビックリするのかなって…」
「行く前にはちゃんと連絡しますよ。
誰か居るときだったら、邪魔だし…
それに、勘違いされたらこっちも困るしぃ…」
「あ、そうだよね。
普通に考えれば、そうだよね。
バカだな、私。」
慌てふためく私を見る子猫の目が細まった。
何か良からぬ誤解が生じているかもしれない。
と思った途端、子猫の目がパチっと開いた。
「そうだ!
こうして知り合ったのも何かの縁だし、
携帯番号教えてください」
「え、ええ、いいですけど…」
気乗りはしなかったが、断る文句も見つからない。
促されるまま、お互いの番号を教え合った。
子猫、いや泥棒猫のことだ。
何か悪巧みでもあるのかもしれない。
――この先、厄介なことに巻き込まれませんように
内心祈りながら、相手の番号を打ち込んだ。
4人は食後の珈琲を飲み終えると、しばらくして店を出た。