ワンだふる・ワールド ~飼育系女子の憂鬱な1週間
陽子は聞く耳を持たないどころか、ハスキーの話題の後で酷な質問を私に投げつけた。
パリッとした性格は好きだが、気を遣わなさすぎるのは陽子の短所でもある。
鼻息があらくなった陽子は沙希の返答を待たずに話を続けた。
「愛は見返りを期待しないもの
恋は見返りを期待するもの
って言うじゃない?
恋人同士の関係に愛はないよ。
結局は赤の他人なんだし…
こっちが何かしらバックするから
向こうも頑張ってくれるわけでしょ?」
そう言い放って、陽子はパスタを一口頬張った。
これには一理あるなと沙希は思った。
が、ハチは最初こそご褒美をあげたものの、
今は愛情と呼べる忠誠心で、日々頑張ってくれている。
「でも、修一は 見返りは期待しないよ」
「本当に?
言わないだけで
心の中では思ってるかもよ」
陽子の指摘に言葉が詰まったが、沙希も負けじと胸を張った。
「そういう風に育ててるからね」
と自信ありげに沙希が答えると、
「じゃあさ、
修一さんと結婚しないって
言ったとしても平気?
彼は何も言わない?」