エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
でも、このまま触れていたいけど、それじゃあ食事の準備ができない。


「ご飯、作らなくちゃ」
「うん」


彼は名残惜しそうな顔をして離れていった。


「翔さんできました」


調理が終わり、ソファに座っていた翔さんに声をかけたが返事がない。


「翔さん?」


近づいてもう一度声をかけると、彼はやっと気づいて顔をあげた。


「あっ、ごめん。集中しすぎてた」


謝る彼の手にはデザイン画が見える。


「すごい。素敵……」


彼が描いていたのはウエディングドレスだった。

上半身はオフショルダーのシンプルなデザインだけど、スカート部分はふわふわのレース生地か幾重にも重なり、バラのモチーフが散りばめられている。


「砂羽を見ていたら、アイデアがあふれてきて描かずにはいられなくなって」
「私を?」
「うん。砂羽は俺のインスピレーションをくすぐるんだ。この女性らしい体のラインを生かすにはどうしたらいいのかとか、一番美しく見せるにはなにを足してなにを引くべきかとか」
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