エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
「そうですよ。献立を考えるのもワクワクします」


家にいるときはそんなに好きじゃなかった。
料理教室に通った経験はあるものの、単なる日常の一環として食事があるだけだった。

だけど、翔さんのために作り食べてもらう食事は、それだけではない。
彼と私をつなぐ架け橋になっていくような気がする。


「楽しみにしてるよ。砂羽は、お父さんが亡くなる前は休みの日はなにをしてることが多かったの?」
「うーん。料理教室にも通いましたけど……。あっ、お茶会に時々行ってました。私、着物が好きで……でも着る機会もなかなかなくて。着付けの先生がお茶会を勧めてくださったんです」


父が亡くなるまでは、三カ月に一回くらいは行っていた。
最初は大好きな着物を着るためだったけど、あの凛とした独特の空気が気に入っていたのだ。


「へぇー。お茶会か。俺も行ってみたいな」
「一緒にどうですか?」


翔さんが興味を持ってくれたのがうれしくて、声のボリュームが大きくなる。
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