エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
もしそう見えるなら間違いなく翔さんのおかげだ。
彼にもっと好かれたいという気持ちが、そうさせているのだと思う。


「ほ、他に心当たりはないです……」


思いきって伝えると、彼は「よかった」なんて笑っている。


「この着物も昔から伝わっている物?」
「はい。でもこの帯は橋さんの作品です」


そう伝えると彼は私の背後にも回り込み、観察している。


「素晴らしい。技術の伝承を目の当たりにしてるんだね、俺は」
「大げさですよ」


そうは言いつつも、峰岸織物にとって最大の褒め言葉をもらった気がして、自然と顔がほころんだ。

そんな彼も、濃いグレーのスリーピースに赤のネクタイを合わせている。


「俺も着物を作ってもらおうかな」
「ホントですか?」


彼なら絶対に似合う。橋さんに聞いてみようかな。


「うん、興味あるよ。さて、行こうか」
「はい」
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