エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
最初はひらめきからスルスルと生まれたデザインだけど、その後イメージだとか感情が変化するたびに何度も描きなおしをしてくれている。

それほどまでに大切にしてくれているあのドレスのデザインが、他人の手に渡ってしまった。

私のためだけのオーダーメイドが、商品化され一般に販売されてしまうのは残念だ。


「……はい」


私が肩を落とすと、彼は「でも」と気持ちを切り替えたかのように、口角を上げる。


「もっといいドレスを作る機会を与えられたってことだ。砂羽に早く着せられるように頑張る」


さりげないプロポーズのような言葉に、タジタジになってしまう。
彼の熱い想いに胸が震える。


「ごめん。来客があるから、会社に戻らないといけない」
「あっ、すみませんでした……」


忙しいのに駆けつけてくれたんだ。


「いや。彼女の一大事に駆けつけられなくてどうする。俺は砂羽のナイトだよ」
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