エリート社長の許嫁 ～甘くとろける愛の日々～

彼は冗談めかしてクスッと笑うが、その通りかもしれない。だけど、こんなに素敵な人が『ナイト』だなんて、信じられない。


「さっきお母さんに連れて帰ると伝えておいた。だから、もう今日はここにいて。疲れてるでしょ？」


私は彼の言葉に甘えてうなずいた。

自分のせいでデザインを持ち出されてから、ずっと緊張の連続だった。

どれだけ翔さんが大丈夫だと諭してくれても、気持ちは休まらなかった。
体は元気でも、心がヘトヘトだった。


その晩。食事を済ませたあと、コーヒーを用意した。
さすがに翔さんも疲れているはずだ。リラックスしてほしい。

私にとっても怒涛の一日だったけど、彼が近くにいてくれるだけで心が落ち着いてくる。


「ありがとう、砂羽」
「いえ」


それから、ソファの彼の隣に座りコーヒーを口に運んだ瞬間、チャイムが鳴り、翔さんがドアホンを取った。


「どうして来た？」