エリート社長の許嫁　～甘くとろける愛の日々～
なぜか尖った声を出す彼に首を傾げながら私もモニターに近づくと、険しい表情の稲田さんが映っていたので目を瞠る。


『謝罪に参りました。許していただけるとは思っていません。でも、謝らせてください』


稲田さんは声を震わせている。

彼女がしたことは許されることではない。
だけど、どうしてこんなことをしたのか知りたい。

翔さんがどう対応するのか見守っていると、「上がってこい」と声をかけた。


「砂羽。ちょっとごめん。稲田と話してみる」
「わかりました」


彼はそう言い残してリビングを出ていく。

しばらくして稲田さんがやってきた。
玄関のドアが開いた音がした瞬間、「申し訳ありません」という彼女の泣きそうな声が響いた。

リビングで緊張しながら聞き耳を立ててしまう。


「お前がしたことは、ブランピュールに対する裏切りだ」


翔さんの声が鋭い。
< 208 / 337 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop