エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
「わかっています。私……社長と峰岸さんとのことを知って、頭に血が上ってしまって……。社長の一番近くにいるのは私だとばかり思っていました」


それって、もしかして……。


「そうだ。お前は俺の右腕だ。だが、仕事の上でだ」
「でも、私が気持ちを伝えても、そばに置いてくださったじゃないですか」


稲田さんは翔さんが好きだったんだ。

彼女の胸の内を知り、唖然とする。

だけど、『気持ちを伝えても』って、翔さんは彼女の好意を知っていたということ?


「稲田ほど有能な社員を私情で逃すほどバカな経営者じゃないつもりだ」


彼女の能力の高さは、社内でも認められていると聞いている。
私も一緒に仕事をして的確な分析力や判断力を目の当たりにしているので、有能ぶりはわかっているつもり。

だから、彼の言うことはもっともだ。
けれども、勘違いしてしまう稲田さんの気持ちが、同じ女としてちょっとわかる。
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