エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
「砂羽は本当に和服がよく似合う。本当に最近はびっくりするほど色っぽくなってきたから、着物を着るとそれが際立ってしまって、隠したくなる」


翔さんは褒めることを忘れない。


「い、色っぽくは……言いすぎですって」
「一番近くにいる俺がそう言ってるんだよ? 間違いない。俺としてはうれしい限りだけど、誰かに取られないかハラハラする」


そんな心配、まったくいらないのに。


「取られるなんて、そんな」
「まあ、死守するけどね」


クスッと笑う彼は、私の手を握った。


「けど、和服もいいね。思ったより楽だし、なんていうか背筋が伸びる」


彼は小道を悠然と歩きながら、開いているほうの手で自分の着物に触れる。

たしかに、特別なときにしか着ないので、その日は気持ちが引き締まる。
けれども、イヤな緊張感ではなく心地いい。


「和服のよさがもっと広がるといいな。もちろん洋服も負けない」
「はい」
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