エリート社長の許嫁 ～甘くとろける愛の日々～

「ごめん。俺の勝手だな……」
「社長、お時間が……」


そのとき、近くに停めてあった車から林さんが降りてきて、翔さんに声をかけた。


「あぁ、わかった」


翔さんは心なしか肩を落とす。
林さんが離れていくと、彼は私の目を凝視したまま、もう一度口を開いた。


「砂羽を愛してる。一生、砂羽だけを」


真剣な告白に、胸が疼く。


「時間をとらせてごめん」


彼はそれだけ言うと、車のほうに向かって足を踏み出した。

一歩二歩と彼が遠くなっていく。
その様子を見ていると、切なさで胸がいっぱいになる。


「翔さん！」


私は思わず声をかけてしまった。
すると彼は驚いたような顔をして振り向いた。


「今日の夕飯は、なにがいいですか？」


なんともいえない胸の苦しさを感じながらそう口にすると、彼は目を閉じて天を仰いだ。

そして、しばらくして私に視線を移し、優しく微笑む。