エリート社長の許嫁 ～甘くとろける愛の日々～

途中で買い物をして、マンションの前に立つ。
たったひと晩いなかっただけのこの場所がひどく懐かしく感じられて胸がいっぱいだ。

エントランスでカギを解除して中に足を踏み入れたところで、私と同じ歳くらいで二重の大きな目が印象的なかわいらしい女性も入ってきた。

一緒にエレベーターに乗り込み二十階のボタンを押すと「あっ」と言われて首を傾げる。


「ごめんなさい。もしかして、一ノ瀬さんの……」
「えっ？」


翔さんのお知り合い？


「私、隣に住んでいます。八坂です」


あっ、アルカンシエルの社長さんの奥さまだ。


「初めまして、峰岸です」


そんな会話をしているうちに、二十階に到着してドアが開いた。
【開】のボタンを押して彼女を先に降ろすと、待っていてくれる。


「戻っていらっしゃったんですね。よかった……」
「あっ、あの……」


私が昨日帰らなかったことまで知ってるの？