エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
たしかに、ビジネスの世界はときにどす黒い。

商品の良し悪しより、接待などでいかに媚を売ったかが採用の基準になることも多々あった。


私は八坂さんの話を聞きながら、泣きそうだった。

それほどまでに私のことを想っていてくれた翔さんを信じられなかったなんて、なんてバカだったんだろう。


「だからお会いできてうれしいです。よければ仲良くしていただけると……」
「もちろんです」


私たちは早速、電話番号を交換して、別れた。

八坂さんに会えてよかった。
まさか翔さんがそこまで悩んでくれていたなんて。

いつも凛としている彼が、オロオロするところなんて見たことがないので、驚きのひと言だ。

しかも、手紙で興味を持っただけの私のために洋服を作ってくれていたことに目頭が熱くなる。


「おいしいロールキャベツ作らなきゃ」


翔さんに感謝が伝わるように、うんと心を込めて作ろう。
私は家に帰ると、早速調理にかかった。
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