エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
「翔さん、そんな……」
「もし砂羽が了承してくれるなら、話したいことがあるんだ」


あくまで私の意思を尊重してくれる彼の優しさが身に染みる。


「はい。でも今日、坂井さんがいらっしゃって、いろいろ聞いてしまいました」
「坂井さんが?」


彼は驚愕している。


「翔さんと重人さんのお母さまが違うこと。そのせいであまり仲良くはしてないことも」
「そっか。俺が一ノ瀬家にとって邪魔な存在だったと、もっと早く話しておけばよかった」


彼が悲しげな顔をしてそう漏らすので、首を振る。


「邪魔なんかじゃないです。悠馬さんや坂井さんは、すごく心配していらっしゃいます」


それに、翔さんが家族の温もりをあまり知らずに育ったのだったとしたら、これからは私が教えてあげられればいい。


「うん。そう、だね」


彼がやっと笑顔を見せてくれたので、ホッと胸を撫で下ろした。
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