エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
それから翔さんに促され、ソファに座った。
隣に座った彼は、私をじっと見つめてから口を開く。
「さっきも言ったように……兄貴と一緒に仕事をしたことはない。ブランピュールは東横銀行と取引があるが、担当者は別の人だし、取引の件で兄貴と話したこともない」
彼は眉根を寄せて苦しげな顔をしながら、言葉を紡ぐ。
「だけど、峰岸織物が持ち直したと銀行内で話題になって、兄貴が俺が融資したことを知ったらしいんだ。『どういう目的で融資したんだ?』と聞かれたから、『守りたいものがあるからだ』とだけ答えた。砂羽のことも、砂羽が大切に思うものも、俺が盾になって救えればと思ったから」
彼の温かな言葉に、言い知れない幸福感が私を包み込む。彼には感謝しかない。
「銀行マンとしての兄貴との会話は、それが初めてで、それからは一度もない」
いや、それすら重人さんは仕事上での質問だったかどうか怪しい。
隣に座った彼は、私をじっと見つめてから口を開く。
「さっきも言ったように……兄貴と一緒に仕事をしたことはない。ブランピュールは東横銀行と取引があるが、担当者は別の人だし、取引の件で兄貴と話したこともない」
彼は眉根を寄せて苦しげな顔をしながら、言葉を紡ぐ。
「だけど、峰岸織物が持ち直したと銀行内で話題になって、兄貴が俺が融資したことを知ったらしいんだ。『どういう目的で融資したんだ?』と聞かれたから、『守りたいものがあるからだ』とだけ答えた。砂羽のことも、砂羽が大切に思うものも、俺が盾になって救えればと思ったから」
彼の温かな言葉に、言い知れない幸福感が私を包み込む。彼には感謝しかない。
「銀行マンとしての兄貴との会話は、それが初めてで、それからは一度もない」
いや、それすら重人さんは仕事上での質問だったかどうか怪しい。