エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
彼の言葉にフォークが止まる。


「惚気って……」
「あれ、砂羽は違うの?」


違わない、かも……。

八坂さんは部屋を片付けるのが苦手で、澪さんはそれに手を焼いているし、私は翔さんが仕事に没頭しだすと話が右から左になってしまうと愚痴ったこともある。

だけど、そのあとはそれでも優しいとか、いつもスマートだとか、結局惚気てる。


「どう、でしょう……」


彼のように本人に直接愛の言葉を囁くのはハードルが高い。
曖昧にごまかした。


「ま、いいや」


おかしそうに頬を緩める彼は、再び食事を口に運び出す。


「それより、澪さんが写真の前撮りがどうとかって……」
「うん。週末空けといてって言わなかったっけ?」


そうは言われたけど、写真を撮るとは聞いてない。
デートでもするのかと思っていた。


「聞きましたけど……」
「写真は撮る予定だけど、他にもあるんだ」
「他?」


式の前にすることって、あとはなんだっけ?
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