エリート社長の許嫁 ～甘くとろける愛の日々～

「私どもも今後は、その一端を担わせていただきたいと切に願っております。これからブランピュールは、古きに学び、新しい歴史を刻んでまいります。本日は存分に、これら商品の品質の高さを目に焼き付けてからお帰りください。ありがとうございました」


翔さんが頭を下げるのに続き、私も会釈をする。

彼の温かな言葉にますます涙があふれそうになったが、私は笑顔を作った。

ここはまだ始まりだ。
これから峰岸織物もブランピュールも、もっともっと高みを目指して進んでいくんだ。


会場のうしろでは職人さんたちも顔をくしゃくしゃにして泣いている。
今までの苦労が報われた瞬間だったのかもしれない。


こんな機会をくれた翔さんには、感謝してもしきれない。


「翔さん、ありがとうございます」


そっとハンカチを手渡してくれた彼に小声でお礼を口にすると、彼はうれしそうに目を細めうなずいてくれた。