エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
それからドレス姿のふたりと一緒にたくさんの写真に納まった。

たいしたポーズが取れるわけでもなく「目線をこっちにお願いします」という言葉に誘導され、右往左往していただけだ。

けれども、心からの笑顔だけは作れたように思う。
だって、峰岸織物がブランピュールと手をつないで未来に羽ばたいていく姿が思い浮かぶんだもの。


それから十分ほどして、イベントは終了した。
明日以降、いろいろな媒体で紹介されるのだとか。


「砂羽、お疲れさま。上出来だよ。初めてとは思えない」


会場となった宴会場を出ると、翔さんがねぎらってくれる。


「ありがとうございます。でも、もう二度とやりませんよ」
「あれ、頼もうと思ってたのに」


彼は満面の笑みで私の手を取る。


「溝口、俺は抜ける。あとは任せた」
「了解しております」


秘書の溝口さんにそう告げた翔さんは、同じように会場から出てきた母たちに気づき、私の手を引き近づいていく。
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