エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
「翔さん、仕事はいいんですか?」
「もう後片付けだけだし、最初からそう言ってあったからね。これから俺も着替えて写真に納まるよ。俺の紋付き袴も、職人さんたちが作ってくれたんだ」


だったらやはり、彼も着て登場すればよかったのに。
まあ、今日はモデルとしてではなく社長兼デザイナーだったのだから仕方ないか。

母や橋さんの前に立つと、皆の目が真っ赤に染まっているのがわかってしまい、また感極まってしまう。


「こんなに素敵な白無垢をありがとうございました。峰岸織物から嫁に行けて幸せです」


お礼を口にしながら腰を折る。

父が亡くなりどん底も味わった。絶望もした。
だけど今は、希望で満ちあふれている。


「砂羽。本当におめでとう。一ノ瀬さん、ありがとうございます」


母は涙が止まらない様子で声を震わせる。


「砂羽ちゃん、すごくきれいだよ。先代も今頃喜んでるよ。見たかっただろうなぁ」
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