エリート社長の許嫁　～甘くとろける愛の日々～
「峰岸織物の布が役に立つんですね」
「うん。それと砂羽も。砂羽ならなにを着てもかわいいなと思ったら、素材がいいからだとピンときた」


彼はごく平然とした表情でそう口にする。


「なっ、なに言ってるんですか！」


けれども私は、その恥ずかしすぎる発言にしどろもどろになってしまった。


「砂羽のシルエットは本当に美しいからね。男をその気にさせる」


彼は艶やかな視線を私に向けたあと、スッと立ち上がる。
また飛び出した爆弾発言に、私はもうなにも言えない。


「さて、シャワーを浴びてくる。ベッドで待ってて」
「えっ……」
「スイッチを入れたのは砂羽だから。それに……」


彼は私の腰を抱き、耳元に口を寄せる。


「砂羽だって俺のこと欲しいだろ？」


そして、情欲をそそるような声で囁いてから出ていった。


「ほ、欲しいって……」


もう何度も体を交えた仲なのに、誘われるようなセリフに目を白黒させる。

そのくせ、おそらく彼が『寂しい』と素直に言ってしまった私のことを気遣ってくれているのも伝わってきて、つい顔がにやける。


「やっぱり、好き」


小声でつぶやいた瞬間、バスルームのドアが閉まる音がしたので、ビクッとしてしまった。
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