エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
「そういうときは、これ」


彼はソワソワしている私を腕の中に閉じ込める。


「砂羽はこうしているとストンと落ち着く」


そんなことまでバレているの?


「……はい」
「で、もっと落ち着く方法を教えてあげようか?」


なに? わからないんだけど……。
私が首をひねると、彼は手の力を緩めニッと笑う。


「最高の薬」


彼はそうつぶやきながら顔を近づけてきて、キスを落とす。

すぐに離れてくれたものの、不意打ちすぎて心臓がバクバクと音を立て始めた。
これ、逆効果じゃない?


「ドキドキしてるだろ?」


気恥ずかしくて返事をせずうつむいていると、彼は声のトーンを落として続ける。


「今日は俺にずっとドキドキしていればいい。他のことなんてなにも考えないで。俺が全部リードするから」
「……はい」


これが落ち着く方法として正しかったのかわからない。
けれど、ドキドキが緊張を上回ったのはたしかだ。
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