エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
「峰岸織物は、もともと能力があったんだ。それを知ってもらうきっかけがなかっただけさ。……実は昨日、お母さんから返済計画の連絡をもらってね」
「そうだったんですか?」


昨日は今日の準備のために会社を休んだので知らなかった。


「俺としては、峰岸織物が存続してくれるなら返してもらわなくてもいいと思っていたし、もし返済してもらうにしても十分に軌道に乗ってからで大丈夫だからと伝えたんだけど、砂羽に肩身の狭い思いはさせたくないって」
「母がそんなことを……」


たしかに以前『なんの引け目も感じず、お嫁に行ってほしい』と言っていたけど、こんなに早く返済を始めるなんて予想外だった。


「これが親の愛、なのかなって。ありがたく返済してもらうことにした」
「はい」


まだ式の前だというのに、母の愛を感じて瞳がじわりと潤んでくる。


「俺は、全力で砂羽を幸せにする。だから、一生ついてきてほしい」


翔さんはそう言いながら私の手をそっと握る。


「もちろんです」


私が笑いかけると、彼も極上の笑みを見せてくれた。

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