エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
もちろん、苦しい経験はないほうがいい。

でも、もう過ぎてしまったことはどうにもならない。
それより、明日の幸せを見ていよう。

それに彼と一緒になら、どんな困難も乗り越えられる自信がある。


父が亡くなっているため、翔さんと一緒に入場することにした私は、チャペルの扉の前に立ち彼の腕に手を添えた。

するとすぐに、パイプオルガンの音が聞こえてくる。


「それでは、参ります」


担当者の声とともに、大きな扉が開いた。

この扉は、楽しい明日への入り口だ。



出会ったばかりの頃は、峰岸織物を守らなければと、ひとりで満タンになってしまっていた。
泣くことも忘れ、心も荒んでいた。

でも、それに気づいた翔さんが泣かせてくれて……甘えさせてくれた。


あの頃の私に教えてあげたい。
誰かを頼りにすることは少しも悪いことじゃないんだよ、と。

そして、人を愛するのは理屈じゃないことも。

地位も家柄も関係ない。
心が勝手に相手を求めてしまうのが、愛なんだ。

私は彼と過ごすうちに、それを学んだ。
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