エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
「その代わり、これは投資だ。峰岸織物の再生を手伝わせてほしい。これほどまでの優良企業がなくなってしまうのは、業界でも痛手だ。それを阻止したい」
「一ノ瀬さん……」


うれしくて鼻の奥がツーンとしてくる。


「これで、会社存続は決まったよ。本題に入ろう」


彼はあっさり流すけど、やっぱり夢を見ているようで頭が回らない。


「納入価格はこれでいい。ただ、今後商品の大量生産をお願いするかもしれないから、そのときは少々納期の無理を言うかもしれない」
「もちろんです。いくらでもお受けします」


大量生産の注文なんて最近ないので、大きな声が出てしまう。


「うん。峰岸さんは元気なほうがいい」


彼は口元を緩める。


「——ありがとうございました。サンプルはすぐに手配いたします」


もう無理だと思っていた交渉が、彼のおかげでまとまった。
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