エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
「豆ができてしまいました。でも、いつものことですから」


私が正直に告白すると、彼はしゃがみ、ためらうことなく私の右足に手を伸ばす。


「一ノ瀬さん? ちょっ、なにして……」


そして私のパンプスを脱がせ、驚くことにその足をひざまずいた彼の膝の上に乗せた。


「血がにじんでるじゃないか。はー、頑張りすぎだって言ってるだろ」


彼は眉根を寄せ、呆れ顔。


「いえっ、これくらいは大丈夫です。あとで絆創膏でも……えっ?」


なぜか一ノ瀬さんはパンプスを持って立ち上がり、私を横向きに抱き上げるので、慌てふためく。


「あ、歩けますよ? 下ろしてください」


たくさんの人の視線が私たちに降り注いでいる。


「なにが大丈夫なんだ。俺の前では我慢は不要だ」
「はっ、すみません」


少し強めにたしなめられてたじろぎ謝ると、彼は首を小さく振る。
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