エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
「あのあと、絶対に大変なはずなのに、峰岸さんがなかなか頼ってこないからどうしたらいいかずっと考えていたんだ。で、俺の手助けへの代償があれば、少々頑固な峰岸さんも遠慮なく頼れるようになるかなと思ったんだけど……」
「代償……」


これだけ助けてもらっておいて、その分をすっかりお返しすることなんてできないけれど、感謝の気持ちは是非とも示したい。


「峰岸さん、料理はできる?」
「はい、ひと通りのものは」


料理教室に通っていたこともあったし。


「手料理が食べたいな」
「えっ!」


それが代償?
驚きの声を上げると、一ノ瀬さんはにっこり微笑む。


「そんなことで、いいんですか?」
「そんなことじゃないさ。俺、デザインに没頭しすぎると、食べることを忘れてしまうんだ。自分でも不健康だなと思って——」
「忘れるって……ダメです。きちんと食べないと! あっ……」


ついお説教をしてしまい、口をつぐむ。
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