エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
「ははっ、峰岸さんって面白い人なんだね。普段は口数が少ないのに、主張したいことは曲げない。そういう芯の強い女性って、なかなか魅力的だよ」
「み、魅力……?」
「あはは。そのキョトンとした顔もなかなかいいね」


間近でそんな指摘をされ恥ずかしくてたまらない私は、顔を彼の首筋に押し付けて隠した。
すると、香水だろうか。とても爽やかな香りがしてドキッとしてしまう。

私は自分から密着するような行為をしてしまったことを、すぐに後悔した。
全身が熱くてたまらない。


こっそり鼓動を高鳴らせていると、彼の足がふと止まった。
それに気づき顔を上げると、彼の視線が遠くに向いているのがわかる。


「社長! どうされましたか?」


その視線の先から白い手袋をした男性が血相を変えて駆け寄ってきて、一ノ瀬さんに声をかける。


「彼女が足を痛めているんだ。峰岸織物に戻ってくれ」


少し先には、黒い高級車が止まっている。運転手さんだ。
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