【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
「つーか、まだ髪乾かしてないのかよ」
「えっ……?あっ、先輩の弱み握ろうと、本探しに夢中になってたので忘れてました」
「そういうことだけはバカ正直に答えちゃう天沢ちゃん、嫌いじゃないよ……けど」
コンセントにさして、ドライヤーのスイッチを入れる先輩は、熱風をこちらに送ってくる。
「風邪引かれたら困るから、服まで貸して風呂入れてあげたのに。
これじゃあ意味ないじゃん」
「だっ、だってさ~、先輩の弱み少しでも握っておかないと、次なにかされた時怖いじゃん」
「言い訳すんな。
ほら、乾かしてやるから来いよ」
「自分で、できますって!!」
「自分でできてないから、俺がこうやって乾かしてやるって言ってんの。早くしろ」
鋭い眼光の持ち主、ミア先輩にそう強く言われちゃ、敵いませんよ。
高校1年生にもなって、誰かに、それも男の人にドライヤーで髪を乾かしてもらうなんて、恥ずかしい。
ミア先輩は色んな恥ずかしさで私を責めてくる。
それに言いなりになってしまってる時点で、私は先輩に惑わされているのかな……?