【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
先輩の言葉を見計らった乾燥機がピーっと鳴り、緊張感ある空気に割ってはいってくる。
先輩は「制服乾いたじゃん。これでやっと逃げられるね天沢ちゃん」と笑って、最後の最後まで意地悪してきた。
立ち上がり、クリーム色のカーテンを開ける先輩。
目を細めながら窓の外を見つめると、運良く雨はあがっている。
私は制服に着替え、逃げるように先輩の家から出ていった。
「今だけは逃がしといてあげる」
先輩が見送った玄関の前で、そう呟いていたとも知らずに。