【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
「ねえ、今の言葉本当なの?天沢ちゃん」
一直線に向かって歩くミア先輩は、何も目に入っていないんじゃないかってくらい私の目しか見てない。
枝毛が裂かれた時みたいに、2人は退いて、ミア先輩を私の元へ通す。
目の前にはミア先輩。
その影に呑み込まれた私は、変な緊張感にごくりと唾を飲んだ。
「ねえ、二人っきりになりたいんだけど?
いつまで居んの、お前ら」
っと。ミア先輩が黒目を端にやり、後ろで突っ立ってる先輩達を邪魔者扱いする。
先輩達は「あっ……」と、2人で顔を合わせ、スカートを揺らしながら渋々この場から去っていく。
ミア先輩の目は、また私を捕まえにきた。
「"ああいう"のは、今日が初めて?」
ミア先輩が綺麗な指で私の耳たぶをくすぐりながら、聞いてくるから。
ピクッと感じてしまう。
「今日がはっ、初めてです」
「そう。ならいいけど。
なんかあったらちゃんと俺に言わないと」
「……えっ、助けてくれるんですか?」
「当たり前じゃん。天沢ちゃん俺をなんだと思ってるの。
俺のせいでいじめられちゃ、後味悪いっしょ」
「ミア先輩って、ドSだから。私がいじめられてるの見て楽しんでそうですけど」
「なにそれ、めっちゃつまんねーじゃん」
「へっ?」
「俺が天沢ちゃんをいじめるのが楽しんであって。
天沢ちゃんが他の奴にいじめられるのなんて全然楽しくない」
「ーーッ」
「まだ、俺のこと全然分かってくれてないんだね~天沢ちゃん。
そんなんじゃ駄目だよ。足りねえよ。
なあ、天沢?」