【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
「無防備な天沢ちゃんがいけないんだよ」
「……っ、だからって、こんな風にキスされるなんて分かるわけないじゃん!」
涙目の私に、呆れたように髪をかきあげる先輩。
先輩は悪びれもせずに、私の瞳の奥を貫いてくる。
「俺は天沢を独占したい。」
「なに言ってるか分かんない……っ」
「本当に分かんない?」
目を細めたときにできる、先輩の涙袋は卑怯だ。
先輩はゆっくりと私に近づいてくる。
距離が縮まることが怖くて、逃げよくとするけど。
胸のあたりまで水に浸かっているせいで、上手く走れない。
伸びてきた先輩の手が、私を抱き締めた。
その腕のなかで深く溺れてしまう。
心臓がドクドクと、鈍い音を体内で響かせた時。
先輩は私の耳元で囁いた。