【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
大っ嫌いなんて言わなければよかった。
キスされたって、なにされたって。
先輩は確かに変態だし自分勝手だし、何考えてるか分からないところがたまに怖いけど。
いつだって私を助けてくれたじゃないか。
斉藤先輩のときもそう。
苦手な合コンのときだって……ミア先輩がいたから、なんだかんだあの場から抜け出せることができた。
それに雨の日は、私が風邪を引かないように真っ先にマンションに上げてくれた。
無意識に、自分の胸元ある先輩の黒いネクタイを、触っていた。
今思えばこのネクタイだって。
私が学校のジンクスなんかに憧れていたからこそ
先輩の不器用なりの愛情表現の1つだったのかも。
ジンクス、バカにしてたくせに。
私が「ネクタイ交換やってみたい」なんて言ったから……。
「先輩って、ほんと分かりづらいんだから」